絵文字とは?Unicodeの仕組みと、機種で見え方が違う理由

番号と名前を決めるのはUnicode、絵を描くのはApple、Google、Microsoft、Samsungなどの各社です。この分担を知っておくと、絵文字にまつわる疑問のほとんどに説明がつきます。

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丸い顔が描かれたピンクのパズルピースと、その横に並ぶ3枚の小さなカード。カードには鉛筆、筆、クレヨンがそれぞれ添えられ、同じ顔が少しずつ違うタッチで描かれています。

絵文字についてまず押さえておきたいのは、絵文字が画像ではなく文字だという点です。😀 にも、「A」や「あ」と同じ規格で番号と名前が割り当てられています。画面に見えるカラフルな絵は、端末やOSのメーカーが用意したフォントで描かれたものです。肌の色が思っていたのと違う、空の四角が出てしまうといった絵文字の不思議は、ほとんどがこの役割分担から生まれています。

海外で「emoji は emotion が語源」と誤解される理由

英語の emoji は、日本語の「絵文字」をそのまま取り入れた言葉です。ところが英語圏では、つづりの emo が emotion(感情)を連想させるうえ、実際に気持ちを伝えるために使うものなので、emotion から来た言葉だと思われがちです。よく似た英単語 emoticon(海外の顔文字)のほうは本当に emotion と icon を組み合わせた造語で、これも誤解を招く一因です。けれども emoji の e は「絵」、moji は「文字」を表していて、emotion や emoticon と似ているのは偶然にすぎず、語源のつながりはありません。

英語圏では emoticon、kaomoji、emoji の3語がよく混同されますが、それぞれ別のものを指します。emoticon は記号を横向きに読む海外の顔文字で、:-) や :D がその例です。kaomoji は日本でいう顔文字のことで、( ´▽`) のように正面を向いているので首を傾けずに読めます。emoji(絵文字)は、😀 のようにUnicodeで定義された、色のついた絵の文字です。前の2つが既存の文字を並べて作るものなのに対し、emoji はそれ自体がひとつの文字です。

始まりは1999年、日本の携帯電話

一般には1999年が始まりとされています。NTTドコモはiモードの開始にあたって、12×12ピクセルのマスに描いた176種類のアイコンを用意し、わずかな文字数しか送れないメッセージでも気持ちやニュアンスを添えられるようにしました。デザインしたのは栗田穣崇氏で、2016年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)がこのオリジナルのセットを収蔵しました。

ただし、これが最初の絵文字ではありません。1997年には、J-PHONE(のちのソフトバンク)の端末「SkyWalker DP-211SW」が、約90種類の白黒の絵文字をすでに搭載していました。しかしこの端末は売れ行きがふるわず、広く記憶されることになったのはiモードのほうでした。

それから10年ほど、日本の携帯電話会社はそれぞれ互換性のない独自の絵文字を使っていました。あるキャリアから送った笑顔の絵文字が、別のキャリアでは違う絵になったり、何も表示されなかったりしたのです。絵文字を日本の外に広めるには、まず「どの番号にどの絵文字を割り当てるか」を、世界共通で決める必要がありました。

Unicodeが決めるのは番号と名前だけ、絵柄は決めない

2010年10月に公開されたUnicode 6.0で、722個の絵文字が規格に加わりました。きっかけは、GoogleとAppleが日本の携帯電話各社の絵文字を統一しようと提案したことです。それ以来、絵文字はコードポイントを持つ文字になりました。たとえば 😀 のコードポイントはU+1F600、名前はGRINNING FACEです。

規格が決めるのはそこまでです。番号と名前は決めても、どんな絵で表示するかまでは決めていません。絵文字のフォントは各プラットフォームが独自に用意しています。Apple Color Emoji、GoogleのNoto Color Emoji、MicrosoftのSegoe UI Emoji、SamsungのOne UIの絵文字、そして多くのWebサイトで使われているオープンソースのTwemojiなどです。そのため、同じメッセージの同じ文字でも、見る環境によって表示される絵が変わります。

有名な「事故」も、この仕組みから生まれました。Appleは2016年のiOS 10でピストルの 🔫 を緑色の水鉄砲に描き直し、その後2年ほどのあいだに、ほかの各社も追随しました。そのため一時期は、同じコードポイントがある端末ではおもちゃ、別の端末では本物の銃として表示されていました。Googleのハンバーガー 🍔 は、2017年にネットで指摘されるまで、チーズがパティの下に描かれていました。文字は一度も変わっていません。変わったのは絵のほうです。

複数の文字でできている絵文字も多い

ここは多くの人がつまずくところです。1つの絵文字に見えても、実際には複数のコードポイントをつないだシーケンスになっていることがよくあります。主な例は次のとおりです。

  • 肌の色:基本の絵文字のあとに、5種類ある肌の色の修飾子(U+1F3FB〜U+1F3FF)のいずれかを付けます。2015年のUnicode 8.0で追加されました。
  • 国や地域の旗:2つの地域指示記号(Regional Indicator Symbol)を並べて、ISOの国コードを表します。🇹🇼 はU+1F1F9 U+1F1FC、つまりTとWの2文字です。
  • ZWJシーケンス:複数の絵文字をゼロ幅接合子(ZWJ、U+200D)でつなぎます。👩‍💻 は 👩 + ZWJ + 💻 です。
  • 異体字セレクタ:U+FE0Fを付けると、本来は白黒で表示される文字が、絵文字として表示されるようになります。❤️ は ❤(U+2764)にU+FE0Fを加えたものです。

実際に使うときは、ここから2つの影響が出てきます。1つめは、絵文字が見た目よりも多くの文字数を消費することです。JavaScriptでは '👍'.length が2、'👨‍👩‍👧'.length が8になり、SMSや多くの入力フォームの文字数チェックも同じように数えます。2つめは、受け取った側のフォントがそのシーケンスに対応していないと、パーツに分かれて表示されることです。家族の絵文字なら、👨👩👧 のように3人が横に並んで届きます。これは不具合ではなく、仕様どおりの動作です。

  • 赤いハート(U+FE0F付き)

    2つのコードポイントでできています。U+2764に、カラーの絵文字として表示するよう指定する異体字セレクタU+FE0Fを加えたものです。

  • 家族:男性・女性・女の子

    5つのコードポイントでできています。3人の人物を、2つのゼロ幅接合子(U+200D)でつないでいます。このシーケンスに対応していない端末では、代わりに3人が横に並んで表示されます。

  • 旗:台湾

    2つの地域指示記号U+1F1F9とU+1F1FC、つまりTとWの文字でできています。2文字のコードを持つ国や地域の旗は、すべてこの方法で作られています。イングランド、スコットランド、ウェールズの旗は、代わりにタグシーケンス(tag sequence)を使います。

  • サムズアップ:中間の肌色

    基本の絵文字に、肌の色の修飾子(U+1F3FD)を1つ加えたものです。5種類の修飾子は、2015年のUnicode 8.0で追加されました。

絵文字が表示されず、四角や「?」になる理由

中身が空の長方形(通称「豆腐」)や、はてなマークの入った四角が表示されるのは、そこに文字があることをシステムは認識しているのに、手元のフォントにその字形がないからです。原因は十中八九、バージョンの違いです。その絵文字が、端末に入っているフォントよりも新しいのです。

Unicodeに絵文字が追加されるのはおおむね年に1回で、新しい絵文字はOSをアップデートして初めて使えるようになります。古いスマホには、そのアップデートがもう来ないことも少なくありません。当サイトの絵文字一覧をEmoji 16.0までにとどめているのも、このためです。それより新しい絵文字は、多くのAndroidやWindowsの端末でまだ空の四角になってしまい、表示されない絵文字をコピーできても、役に立たないからです。

新しい絵文字はだれが決めるのか

提案を審査するのは、Unicodeコンソーシアムの絵文字小委員会です。提案はだれでも提出でき、書式も審査基準も公開されています。重視されるのは、需要があることを示す根拠、既存の絵文字で表せないかどうか、用途が限られすぎていないか、といった点です。ブランドや特定の人物(存命・故人・架空を問わず)、神は、方針として対象外です。承認された文字は次のバージョンに収録され、その後、各社が絵柄をデザインしてシステムアップデートで配信します。

名前と検索キーワードは、これとは別のデータです。これらを言語ごとに管理しているのはUnicodeのCLDRプロジェクトで、当サイトの絵文字一覧にある日本語と英語の名前も、ここから取っています。

絵文字は自由に使っていいのか

答えは、文字と絵柄で分かれます。コードポイントと名前は規格なので、だれでも自由に入力できます。見出しや商品名、ボタンに 😀 を入れるのに許可はいりません。一方、絵柄は違います。Appleの絵文字フォントはAppleが権利を持つもので、画像を切り出してアプリや素材集に使うことはできません。画像ファイルが必要なら、オープンライセンスのセットを使いましょう。TwemojiはCC BY 4.0、Noto Color EmojiはSIL Open Font Licenseで公開されています。

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このページのイラストはAIで生成したもので、各プラットフォームの絵文字のデザインではありません。