キャップ、ヤギ、マニキュア、オタク:英語圏のZ世代の絵文字の意味

🧢 は相手をうそつき呼ばわりするとき、🐐 は史上最高とほめるとき、☝️🤓 は「えっと、正確には」とツッコむときに使う絵文字です。英語圏のZ世代がよく使う絵文字14個について、今の意味と、その多くがどこから借りてきた言葉なのかをまとめました。

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空白の吹き出しを、野球帽、小さなヤギ、マニキュアのボトル、メガホン、丸メガネが囲んでいます。

SNSの英語のコメント欄に 🧢、🐐、💅 が出てきても、帽子やヤギ、ネイルの話ではないはずです。🧢 は「うそつけ」、🐐 は「史上最高」、💅 は「全然気にしてないけど」、🗣️ はそのひと言を大声で叫ぶ合図、🤓 は周りの間違いをいちいち正そうとする人へのツッコミです。どれも英語圏のZ世代がしょっちゅう使う絵文字で、親や親戚の世代には誤解されやすいものばかりです。

  • 🧢:cap、うそのこと。🚫🧢(no cap)は「うそじゃない、本気で」。
  • 🐐:GOAT、Greatest Of All Time(史上最高)の略。
  • 💅:自信たっぷりで動じない、アンチの声は聞き流す。
  • 🗣️:もっと大きな声で、の合図。声つきの感嘆符のようなもの。
  • 🤓:細かすぎる訂正。☝️🤓 は「えっと、正確には」。
  • 🫵:きみのこと。そう、そこのきみ。

ここからは、それぞれの意味と、その多くがどこから来たのか、どんなときに使うのかを順に紹介します。例はどれもタップするだけでコピーできます。こうしたチャットでは 💀、😭、✨ もよく見かけますが、ネットスラングの絵文字を扱った別の記事ですでに取り上げているので、ここでは省きます。

キャップの絵文字 🧢 の意味は?「うそ」

🧢 のUnicodeでの英語名は billed cap(つばのある帽子)ですが、ネットでは英語のスラング cap を表す絵文字として使われています。意味は、うそ、自慢、大げさな話です。信じられない話を聞かされたら 🧢 と返して、「that's cap(それ、うそでしょ)」と伝えます。前に禁止マークを付けた 🚫🧢 は no cap と読み、「うそじゃない、本気だよ」という意味になります。Dictionary.comのスラング解説にも、この書き方が載っています。

この使い方はTikTokで始まったものではありません。Dictionary.comによると、cap を「自慢する、話を盛る、うそをつく」の意味で使うのはアフリカ系アメリカ人のスラングで、その歴史は1900年代初めまでさかのぼります。no cap という言い回しはアトランタのヒップホップと結びつきが強く、遅くとも2012年にはTwitterで使われていました。2017年にアトランタのラッパー、Young ThugとFutureが「No Cap」という曲を出すと、この言葉はさらに広く知られるようになりました。キャップの絵文字が標準に加わったのも、ちょうど同じ年です。今ではEmojipediaも、このスラングと結びつけて使われることが多い絵文字だと説明しています。

  • キャップ(cap)

    cap はうそのことです。これだけ送ると、「that's cap(それ、作り話でしょ)」という意味になります。Emoji 5.0(2017年)で追加された絵文字です。

  • no cap(うそじゃない)

    禁止マークとキャップを組み合わせて no cap と読み、「うそじゃない、本気で」という意味になります。

ヤギの絵文字 🐐 の意味は?「史上最高」

🐐 はヤギ、英語で goat です。これを大文字の GOAT にすると、Greatest Of All Time(史上最高)の頭字語になります。米国の辞書メリアム・ウェブスターは2018年9月にこの語を収録し、「特定のスポーツや分野の歴史の中で、最も多くの功績を残し、最も成功した人物」と定義しました。Dictionary.comによると、この略語は1990年代に初めて登場したとみられ、LL Cool Jが2000年に出したアルバム『G.O.A.T.』で広く知られるようになりました。スポーツ選手やヒップホップのスターを指して使うことが多く、Emojipediaも、この絵文字はスポーツ選手に対してよく使われると書いています。

今では、何かすごいことをやってのけた人なら誰にでも使います。ライブのチケットを取ってくれた友だちに送る 🐐 は、グループチャットでは最高のほめ言葉です。ただし、この言葉遊びが通じるのは英語だけです。日本語をはじめ多くの言語では、ヤギはただのヤギなので、英語のネットスラングを知らない相手には、家畜にたとえられたと思われるかもしれません。そういう相手には「最高!」と言葉で伝えましょう。

  • ヤギ(GOAT)

    GOAT は Greatest Of All Time(史上最高)の略です。人に向けて使えば、チャットでこれ以上ないほめ言葉になります。

マニキュアの絵文字 💅 の意味は?「気にしない」

💅 はマニキュアを塗ってもらっている手の絵で、自信、生意気さ、人にどう思われても気にしない態度を表します。満点の成績を投稿するときに 💅 を添えたり、嫌味なコメントに 💅 だけ返して流したりします。UnicodeのCLDRが付けている英語のキーワードにも whatever(どうでもいい)、bored(退屈)、done(もういい)が入っていて、標準のデータ自体が、ネイルだけの絵文字ではないと認めているようなものです。

この意味も最近生まれたものではありません。Dictionary.comが、2014年の報道をまとめて紹介しています。3月には米誌The Atlanticがこれを「絵文字界のビヨンセ」と呼び、アンチを黙らせるときから、さらっと「どうでもいい」と言うときまで何にでも使えると書きました。11月にはNew York Magazineが「気にしてない」「アンチは勝手に言ってれば」という意味だと読み解き、BuzzFeedは2014年を「ネイルケア絵文字の年」と宣言しました。Emojipediaは、この絵文字がLGBTQ+のコミュニティやクィアの美学と強く結びついていると指摘しています。slay(最高にうまくやる)といっしょに使われることもあります。この意味の slay は、1970〜80年代にアフリカ系、ラテン系、クィアの人々のボールルームカルチャーで定着した言葉です。

  • マニキュアを塗る手

    自信たっぷりで動じず、アンチの声は聞き流す、という態度です。slay といっしょに使われることもあります。

話す人の絵文字 🗣️ の意味は?「もっと大きな声で」

🗣️ は英語名が speaking head、日本語の名前は「話す人のシルエット」で、横顔のシルエットの口元から、声を表す線が出ている絵です。今では、声つきの感嘆符のような役割をしています。ひと言に添えると、そのひと言を周りに向かって大声で叫んでいる、という意味になります。よくある組み合わせは 🗣️🔥 で、全部大文字で書いた英文といっしょに使われることが多いです。

Know Your Memeによると、始まりは2017年です。プレミアリーグのサッカークラブの公式アカウントが、X(当時はまだTwitter)で誰かの発言を引用するとき、その前に 🗣️ を置いて「これから誰かが話す」ことを示すようになりました。その後バスケットボール、アメリカンフットボール、ヒップホップのアカウントに広がり、2023年初めにはコメント欄で皮肉まじりに使われるようになって、同じ年の5月にはTikTokで一気に広まりました。つまり、クラブのアカウントが使う 🗣️ はただの引用の印で、コメント欄にずらりと並ぶほうは、たいていお互いを盛り上げ合っているだけです。

  • 話す人のシルエット

    「もっと大きな声で」の合図です。声つきの感嘆符のように使います。

  • 話す人のシルエットと火

    よくある盛り上げ用の組み合わせです。全部大文字の英文といっしょに使われることが多いです。

オタクの絵文字 🤓 の意味は?「えっと、正確には」

🤓 はもともと、分厚いメガネをかけ、とぼけた笑顔を浮かべたガリ勉の顔で、勉強熱心なことや頭がいいこと、好きなものに夢中になっていることを表していました。Dictionary.comは、知ったかぶりをするときや、寒いダジャレを言ったときの使い方も挙げています。当サイトの絵文字一覧に表示される日本語の名前は、CLDRの「オタク」です。CLDRの日本語のキーワードには「ガリ勉」「秀才」「知的」も入っていて、今の使われ方ともそれほど離れていません。

最近よく見かけるのが、人差し指を立てたオタクの ☝️🤓 です。英語の「um, actually(えっと、正確には)」にあたり、細かいところまでいちいち訂正する人をからかうときに使います。Know Your Memeが確認したいちばん古い例は、2022年2月にRedditに投稿されたスペイン語のミームで、キャプションは de hecho(「実は」の意味)でした。同じ年の8月から10月にかけて中南米のTwitterで広まり、その後TikTokにも飛び火しました。自分に向けて使えば「誰も聞いてないけど豆知識を言います」という自虐になり、人のコメントの下に貼れば、当てこすりになります。

同じ 🤓 でも、機種によって絵文字の見た目は違います。Emojipediaは、メガネと大きな前歯の組み合わせが、アジア人に対するステレオタイプを連想させかねないと指摘しています。Google、Facebook、WhatsApp、JoyPixelsは歯の描き方を変えたり、歯そのものをなくしたりしましたが、Apple、Microsoft、Samsungなどはまだ歯を描いています。送った顔と、相手の画面に出る顔が同じとは限りません。

  • オタク

    勉強好き、頭がいい、好きなものに夢中、といった意味です。知ったかぶりをするときや、寒いダジャレを言ったときにも使います。

  • えっと、正確には

    人差し指を立てたオタクの顔で、細かすぎる訂正をからかいます。自分に向けて使えば、自虐になります。

指差しの絵文字 🫵 の意味は?「きみのこと」

🫵 は、画面越しに読んでいる人をまっすぐ指差す人差し指です。Emojipediaは、広告や新兵募集ポスターでおなじみのあのしぐさで、「you」という単語とその意味を表す絵文字だと説明しています。CLDRの英語のキーワードにも you があり、日本語のキーワードには「おまえだ」が入っています。チャットでは相手を名指しする合図で、文末に付けると「そう、きみのことだよ」という意味になります。応援になるか、いじりになるかは、すべて添えた文しだいです。

  • 人を指差している手

    「きみのこと」という意味です。相手を名指しする合図で、応援にもいじりにもなります。Emoji 14.0(2021年)で追加された絵文字です。

ほかによく見かける絵文字:🔥 💯 🚩 🍿 🥀

🔥 は「最高」という意味です。Emojipediaはこの絵文字を、スラングの fire(すごくいい)、lit(アガる、最高)、hot(魅力的、話題の)と結びつけていて、実際にCLDRの英語のキーワードにも lit が入っています。ただし、Snapchatで友だちの名前の横に出る 🔥 は別物です。Snapchatのヘルプページによると、これはStreak(ストリーク)の印で、お互いにSnapを送り合った日が何日続いているかを表しています。💯 はもともとテストの満点のことで、そこから「100%」「完全に同意」、あるいは keep it real(飾らずに自分らしく)という意味に広がりました。

🚩 はレッドフラッグ、つまり危険信号です。Emojipediaによると、特に恋愛やデートの話でよく使われます。相手の言動に引っかかるところがあったら 🚩 と返し、もっとひどければ 🚩🚩🚩 と並べます。🍿 は、ポップコーン片手にもめごとを見物するだけで、首を突っ込むつもりはない、という意味です。しおれた花の 🥀 は、悲しみや失望、失恋を表し、皮肉を込めて使うこともあります。Emojipediaは、この絵文字の皮肉な使い方が2025年初めにTikTokで急増したと記録しています。

  • 火

    最高、アガる、すごくいい、という意味です。Snapchatで友だちの名前の横にあるときは、ストリークの印です。

  • 100点満点

    「100%」「完全に同意」、または keep it real(飾らずに自分らしく)という意味です。

  • 三角の旗(red flag)

    レッドフラッグ、つまり危険信号で、特に恋愛やデートの相手について使います。旗が多いほど、問題も深刻です。

  • ポップコーン

    もめごとを見物するだけで、首を突っ込むつもりはない、という意味です。

  • しおれた花

    悲しい、がっかり、失恋した、という気持ちを表し、皮肉を込めて使うこともあります。Emoji 3.0(2016年)で追加された絵文字です。

意味の多くは、よそから借りてきたもの

マイク、サッカーボール、マニキュアのボトル、星がたくさん描かれたシールから、曲がりくねった4本の道が伸び、真ん中の空白の吹き出しで合流しています。
こうした意味の多くは借りものです。ヒップホップ、サッカークラブのアカウント、クィアのコミュニティ、ミーム文化から流れ込んできました。

由来を並べてみると、ある傾向が見えてきます。この記事で紹介した「Z世代の」意味の多くは、よそから借りてきたものです。ピュー・リサーチ・センターは1997年以降に生まれた人をZ世代としていますが、cap はそれより何十年も前から、アフリカ系アメリカ人のスラングでした。🗣️ はサッカークラブのアカウントから、☝️🤓 はスペイン語のミームから来ています。こうした言葉が今、スマホとショート動画に乗って、絵文字の形で遠くまで広がっています。流れを年代順に並べると、次のとおりです。

  • 1900年代初め:アフリカ系アメリカ人のスラングで、cap が「自慢する、うそをつく」の意味になる
  • 1970〜80年代:slay がアフリカ系、ラテン系、クィアのボールルームカルチャーで広まる
  • 2014年:💅 が「絵文字界のビヨンセ」と呼ばれる
  • 2017年:Emoji 5.0で 🧢 の絵文字が登場し、プレミアリーグのアカウントが 🗣️ を使い始める
  • 2018年:GOAT がメリアム・ウェブスターに収録される
  • 2022年:☝️🤓 がスペイン語のミームから広まる
  • 2023年:🗣️ がコメント欄やTikTokで、皮肉まじりの盛り上げ役になる
  • 2025年初め:🥀 の絵文字を皮肉で使う例がTikTokで急増する

送る前に、誰が読むかを確かめる

どれも仲間内の言葉なので、場が変われば意味も変わります。友だちへの 🧢 は冗談半分の「はいはい、うそでしょ」ですが、仕事のチャットで上司に 🧢 を送れば、うそつき呼ばわりしたことになります。同僚の訂正コメントに ☝️🤓 を返すと、面と向かって反論するよりも刺さります。それに、ネットスラングを知らない人には、🐐 も 💅 も本当にただのヤギとマニキュアにしか見えないかもしれません。

もうひとつの問題は、相手の画面にそもそも表示されるかどうかです。この記事の絵文字でいちばん新しいのは 🫵 で、2021年のEmoji 14.0で追加されました。そのため、ここ数年OSを更新していないスマホでは、代わりに空の四角が表示されます。なぜそうなるのか、その四角が何を意味しているのかは、下の記事で説明しています。

このページのイラストはAIで生成したもので、各プラットフォームの絵文字のデザインではありません。